平成28年度大学入試センター試験の国語の講評

分量は昨年並み。

難易度はやや易化したと思われる。

形式面は例年通り、

大問1 評論

大問2 小説

大問3 古文

大問4 漢文

の構成でマーク数は36 。

 

各大問毎の寸評。

 

評論 「キャラ化する/されるこどもたち」土井隆義

問題文は「リカちゃん」「ハローキティ」「ミッフィ」など身近な例をあげて日本における

昭和時代と現代での対人関係とアイデンディティの変化を論じた文章。

漢字問題は平易で、読解問題も選択肢に紛らわしいものが少なく正答を選びやすい。

内容正誤問題は間違っているものを選ぶ形式なのでやや手間がかかる。

総じてやや易化。

 

小説 「三等車」佐多稲子

問題文は近年多い小説の全文を掲載する形式。主人公が列車で乗り合わせた親子を観察し

会話して感じた心情を問う問題。

問題文の分量は多いものの、各設問は正答を選び易い。

各読解問題、語彙問題ともセンター試験としては平易なレベルだが

分量が多いので、例年並みの難易度。

 

古文 「今昔物語集」

主人公が鬼につばを吐きかけられ、人から姿が見えなくなり観音に願いをかける。

夢に出てきた僧のお告げ通りに行動すると、姿が再び見えるようになった、という内容。

人物関係も掴み易く、台詞や動作の主体もわかりやすい。

古文を普段からしっかり学習していた受験生にとっては読みやすかったことだろう。

問い1の語彙問題も基本語句で、各設問も平易であった。

毎年理系の受験生を悩ませている和歌や文学史の出題もなかったため

明らかに易化したといえる出題内容。

 

漢文 「抱経堂文集」

まだものごころつかない赤子の時に母を亡くした張荷宇という人物が

母を思い、夢に出てきた母親を目が覚めてから描いた一枚の絵について述べた文章。

やや知識を問う問題の比重が大きいので、これもしっかり学習している受験生にとっては

組し易かっただろう。

昨年度並みかやや易化といったところ。